2015ワーストカバー
「Hitnrun Phase One」Prince
前作「Art Official Age」のアフロ姿のプリンスをチビキャラ化したんでしょうが圧倒的に可愛くない!!
何となくジャケットからやる気のなさを感じてしまうわけですが本編はそんなことなく充実した内容です。重厚なソウルバラード「This Could B Us」から近年のプリンスの楽曲では間違いなく最もポップなナンバーである「FALLINLOVE2NITE」の流れなんかグッとくる。最後がバラードで〆ってのも好印象!
「Wonder Future」アジアンカンフージェネレーション
中村祐介じゃないじゃん!?別に中村ジャケットに固執する必要はないと思うんですがこれは「ナイ」ですよね....?
収録作品なんですが従来のシングル向けの楽曲は少なく、かなりロックに寄った作品で好印象なんですがtwitterでの後藤氏の不穏な一連の発言もあってかどうにも斜めに構えて見てしまう....リスナーとしていけませんね....
「KABLAMMO!」ASH
00年代の前半のミクスチャー(死語)とポップパンクの中間みたいなジャケット。
アッシュはジャケットのせいでスタートを2完歩くらい損してるがするし、それらを回収できないまま今に至っている気がする。そりゃティム・ウィーラーのソングライティング力も落ちるわなー
「Orphaned deejay Selek 2006-08」AFX
明らかに暇つぶしで作ったであろうトラックにテキトーなジャケット。
凄い人だとは分かってますがシンボル化しすぎじゃないですかねー?
「So There」Ben Folds
クラゲっぽいぜ。
ベン・フォールズが国内盤出ないのって初ですかね?洋楽不況!!
2015ベストカバー
「Sad Horse」Sad Horse
ギター&ドラムの二人組のアルバム。全曲35分!一番長い曲で2分18秒というスッカスカでバタ臭いガレージパンク!その雰囲気がよく出てる素敵なジャケットですね!
ドラムの方はタラ・ジェイン・オニールと活動してた経歴があったりシカゴ、ルイヴィル関連との関わりがかなり深いようです。大抵このエリアの方々ってパンクから音響系や前衛方面へ向かう人が多いんですが、この人たちは全く逆のようです。
「Seasonal hire」Steve Gunn & The Black Twig Pickers
馬の骨(?)から冬虫夏草。奇しく馬繋がりです。
野晒しの骨って素敵じゃないですか?鳥山石燕の「狂骨」みたいなやつ。
ちなみにこちらもシカゴ系ご用達のスリルジョッキーからのリリースです。所謂ポストロックの印象が強いレーベルですが最近はガレージパンクやドゥームメタルなど多方面からのリリースが目立ちます。
「The Republic」Sam Prekop
猫ジャケ。
シー&ケイクのフロントマンであるサム・プレコップのソロアルバム。
これまでにソロ作を何枚か発表してるわけですが基本はどれもシー&ケイクの延長上にあるソフトロックをポストロック的に解釈した歌モノでした。しかし、今回は全曲シンサイザーのみで構成されたインスト作!実験的!
シンセブリブリ感はシー&ケイクの最新作でも感じられたことなのでバンドの延長という意味ではきわめて正しいソロ作品なのかと。
「HEARTACHE」NAVEL
猫ジャケその2
10年ぶりの3rdアルバムだそうです!1stのヘソ出し幼女の瑞々しさと2ndの新緑の青葉の清々しさが一体化したカワイイジャケットですね。キリッとした猫!
「Casstte Tapes Club #8」KUNG-FU GIRL
Miles Apart Recordsっていう今時カセットテープでの音源販売を行っている優良レーベルがあるんですが、そこのジャケットが新進気鋭の洒落たイラストレーターさんばかりを起用していてとても可愛いのだ。ぶっちゃけこの記事自体このレーベルのアーティストだけで埋めてもいいのですがそれだとアレなので一番気に入ってるジャケットのやつを挙げさせていただきます。KUNG-FU GIRL!KOGA RECORDSやバンド名通りアッシュのカンフーを思い起こさせる爽快感あるパワーポップです!ジャケットは漫画雑誌ユースカでもお馴染みの新星エビマヨネーズ!
3月の新作総まとめ その2
「noise myself」冷牟田敬 9.2/10.0
元昆虫キッズ、現Paradise、豊田道倫mtvBANDの王子こと冷牟田敬のソロアルバム。
素晴らしい作品だと思います。内容はタイトルの通りでノイズと自身との対話、戯れ。バンド活動ではできない、一人のギタリスト、音楽家としての矜持が自信満々に示されています。昆虫での鈴の音を鳴らすようなアルペジオからパラダイスでの奥行きのあるディストーションまで狂気の片鱗は既に浮き出ててはいたのですがが遂に爆発した感がある。甘美なノイズなシューゲイザーというよりはエメラルズのマーク・マグワイアやマニュアル、ウルリッヒ・シュナウスなどの北欧のラップトップシューゲイザーとリンクするところもあります。
周辺のバンドが「下北沢インディー」「ココ吉系」など安易に括られやすいジャンルではあるのですが、冷牟田氏の音楽だけは超然としていてアホなカテゴライズを許さない凄味があります。
Double dream is breaking up the door.
- アーティスト: Paradise
- 出版社/メーカー: MY BEST! RECORDS
- 発売日: 2014/03/18
- メディア: CD
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「Double Dream is Breaking Up The Door」Paradise 8.3/10.0
ベースの瀬尾マリナ嬢が脱退し、今まで以上にボロッボロのコンディションに陥ったパラダイスがまさかの新作!内容もこれまたボロッボロで前作では比較的聴きとるの簡単だったボーカルがほとんどテキトーに!呼詩はともかく、他の二人までテキトーに歌ってやんの!そんな中で自身らのバンド名である「Paradise」と命名された超キラーチューンを出してくるあたり油断がならない。
んで、新作リリースしたのは良いものの、早速、ドラムの関口萌が脱退!ボロ布一枚の状態になってしまったパラダイスの今後の動向が楽しみです!
「See you,Blue」さらうんど 4.8/10.0
鴨田潤のリリックってイルリメ時代は凄く辛辣でその説教臭さが持ち味の一だったわけですが、シンセサイザーを主体としたシティポップであるさらうんどに於いてはそういう要素は不要と考えたのかイマイチ言葉に重みがない。
ちょっと出涸らしの感が強くなってきたので、表っ面だけ綺麗なポップス路線は止めてもう一度ラップをしてみては?と思いました。
「Messier Oblects」Notwist 5.0/10.0
歌なしのサントラです。ファンなら買い。
「Sauna」Mount Eerie 9.0/10.0
ドローン、ノイズの上を伝うはLAKEのアシュレイ嬢の煌びやかなボーカル。そびえ立つ山々と朝焼け、ニュー・デイ・ライジングを予感させる壮大なスケールの作品です。
近年フェスバブルに対し、「ゴミが多い」「純度が低い」と苦言を呈しているだけあり、この荘厳なサウンドスケープは納得です。
もはや、「インディーロック」が「インディー」ではなくなって久しいですが、栄誉ある孤立を選択したマウント・イアリの姿は誰よりも本来の意味でインディーロック的だ。
「Strangers to Ourselves」Modest Mouse 3.0/10.0
前作が凄く好きなんですよ。「Missed The Boat」や「Little Motel」みたいなバンジョーやマンドリンを使用したまったり目のミドルチューンが特に気にいってます。狂気のボーカルナンバーや長尺のノイズ、キレの良いポストパンク等、色々と楽しめて凄く良い作品です。
月日は流れ8年、モデストマウスが微妙になって帰ってきた。2曲目が「Float On」的な役割なのは分かりますが他の曲がなんともビミョー。ギター重ね過ぎだしチャカチャカしてやかましい、アイザックのボーカルもなんかパワーが足りない。8年も待たせておいてこれはないわなー
3月の新作総まとめ その1
「Fantasy Empire」Lightning Bolt 5.0/10.0
ここ最近のライトニングボルトって「1曲目のイントロかっけー!ドラムやべー!」「2曲目もテンションたけー!」「3曲目ー!また同じくテンションが高い曲だー!!と来て知らないうちにzzzzzzってパターンが多いです。スタイル的に曲の個性を大して重要視しないバンドだってことは重々承知ですが流石にマンネリ化しすぎなような気がします。
個人的に彼らの最高傑作は2nd?の「Ride The Skies」だと思うのですが、この作品はサイケっぽいフレーズのループだったり音の居合抜きに徐々に鬼ドラムが乗ってくるなど緩急が強めな曲が多く、曲と曲の個性がハッキリしてます。「Hayper Magic~」あたりから今のスタイルが定着してしまっているような気がしますので次は大きな変化が欲しいです。
「パラード」ザ・なつやすみバンド 7.2/10.0
メジャーデビュー作。前半に清涼感のあるポップチューン、後半に従来の形に近いしっとり目のバラードと安全策かなーと。スティールギターの客演が印象的な「ユリイカ」は名曲かなーと。ただ、メジャーのバンドとして演奏力に不安があり、先述した客演ミュージシャン達の力が大きいと思います。このクオリティーをライブでも再現できれば大したものではないでしょうか?
あと、折り畳み式のジャケットが鬼カワイイです。
「Hexadic」Six Organs Of Admittance 4.0/10.0
ドローン、ドゥームとサイケデリックフォークが折衷した前作「Ascent」は2012年の個人的な年間ベストにノミネートするくらい好きな作品だったんですが今回は全曲ドゥーム、スラッジで全編を通してとにかくうるさくて重い。前作の延長のような作品を期待してたんですが、これはウーンってな感じ。好きな人にはたまらない音だと思いますが....
「Gliss riffer」Dan Deacon 8.2/10.0
ピッチフォークでの低評価&ジャケットで避けてる人も多いかと思いますが良いですよコレ!前作のコンセプトアルバムより断然良い!オリエンタルな雰囲気のある萌え萌えな女性ボーカルがフューチャリングされててアジアっぽいキッチュな雰囲気が大好きな人間としてはツボ。良い作品!
「トカレフ」大森靖子&THEピンクトカレフ 7.1/10.0
最初で最後のアルバムだそうです、茶番臭が漂いますが音自体は中々。「新宿」のアレンジなんかタイトでかっこいい。
現在、レコ発ツアー中の大森さんなんですが地方の公演はほとんど弾き語りみたいなんですよ。アレンジを盛りに盛りまくった「洗脳」の楽曲を弾き語りで再現するのなんて無理ゲーですし、巧いプロのミュージシャンをサポートで雇うなら、いっそのこと安上がりなピントカでツアー回ったほうがいいんじゃないですかね?ライブで演奏できないならレコ発なんて企画するなって話ですよ。
「The Republic」Sam Prekop 6.5/10.0
シー&ケイクのサムのソロ作品です。彼はこれまで何枚かソロ作品をリリースしており、基本、シー&ケイクの作品の延長線上というべき歌モノが主体だったのですが今回はボーカルは一切ナシ!ギター封印!シンセサイザーメイン!と勝負に出た感じがあります。シー&ケイクの「Harps」で取り入れられたシンセの音像を更にドープな方向に深化させており、ポストロックよりかはアンビエントに近い感じがします。
本来、ソロアルバムってのはメインプロジェクトではできないことをする実験の場だと思うし、これはこれで十分アリです。シー&ケイクの次回作の布石としてファンなら聴くか価値があると思います。ジャケの猫ちゃんも可愛いです。
「最高新記憶」bacho 7.0/10.0
bachoの凄いところは歌詞の一つ一つが確実に聴きとれるってところ。一字一句を噛みしめるように苦吟するボーカルのスタイルは胸に迫るところがある。
フルアルバムで聴くとちょっと長いかな~、もうちょい曲のバリエーションが欲しいかな~と思ってしまうのですが彼らの切実な姿勢にやられてしまい、どうにも低評価にできないのです。個人的には芸風が被るMy Name Is...くらい展開に富んだ曲を作れるようになれば更に良くなる気がします。
2015年1月~2月まで買ったCD総まとめ!
あんまり買ってません。乱暴に点数付けして適当な感想を書きました。よしなに。
<新作>
Girls In Peacetime Want To Dance
- アーティスト: Belle And Sebastian
- 出版社/メーカー: Hostess Entertainment
- 発売日: 2015/01/20
- メディア: CD
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2.0/10.0
文句なしにダメな作品だと思います。耳に残るのがマルクス&エンゲルスの焼き直しである1曲目のイントロと絶望的なまでに時代とマッチしていないキッチュなディスコポップ「The Party Line」くらい。
褒めるべき点はジャケットくらいです。キャリア最低の出来。
7.5/10.0
ここ10年位で一番良い出来じゃないかと。最近のイースタンって長い曲や捨て曲が多くてどうしてもダレる印象が強かったんですが本作は疾走感のある曲が多くてサクッと食べれるカンジ。「テレビ塔」「コンクリートの川」なんか若々しさがある。
「もうやることは全てやった」という理由でベースの二宮さんが辞めちゃうみたいですが、イースタンなんて僕が初めて聴いた時から出涸らしの金太郎飴だったわけで...愛すべきマンネリとして活動を継続してほしいのだが....
6.3/10.0
前作「夜はそのまなざしの先に流れる」という作品がほぼ完璧に近いモノだったので、どうしてもデキ落ちはしょうがないのかなー
NINGEN OKが参加した「はじまり」なんかは今までにない歪んだギターがギュンギュンしてて聴き所はけっこーあるんですが、作品全体の調和美がハンパない前作と比べるとやはり遥かに劣るデキ~
7.2/10.0
賛否ありますが僕はけっこー好きです。チャカチャカしたオーソドックスなファンクなんだろうな~と思ってたらヘヴィーでノイジーな曲が多いのね!あと、メロディーがちゃんとしてる!「Nowhere Girl」とか!
<微妙に旧作>
6.0/10.0
満を持しての1stフルアルバムなんでしょうが、去年9月に発売された平賀さち枝との共作「白い光の朝に」が名曲すぎてどうしても見劣りしますね!
こういうアノラック系のネオアコっぽいバンドは引き出しが少なそうだし早くも底が見えてしまった感がある。
7.0/10.0
5曲しか入ってないので今の時点で評価するのもアレなんですが僕は中々好きです。ホムカミと同じくサブカルと親和性の高い男女2人組なのですが、こちらのほうが良い意味でこじんまりとしててフォーク歌謡っぽい。
麓健一、平賀さち枝、oono yuukiなど寡作なアーティストの多いkitiですが、こちらは早くフルアルバムを期待したい。
本当に怖い漫画 外伝~押切蓮介~
今まで大好きだったものが、ある出来事をキッカケに大嫌いになってしまう...こういう体験ってないでしょうか?私の場合は押切蓮介がソレに当たります。
例の事件 ではなく、それより少し前に発売された「暗い廊下とうしろの玄関」というコミック幽に掲載された短編をまとめた作品集が決定打となりました。
彼岸島化&ヒャッハー&無双のループを繰り返し、希釈化した「夕闇特攻隊」、夕闇と大して内容が変わらず、ただ残虐なだけで哲学や魅力がない悪党をボコボコにするだけだった「焔の眼」、ゲームセンターCX的な友達の家でゲーム眺めてる感をコッテコテのラブコメと融合させた悪名高い「ハイスコアガール」と私の押切先生に対する不信感は日に日に高まっていました。
そして、本作。
本作は長期にわたって掲載されていた作品をまとめただけに、初期と終盤では絵も作風もだいぶ異なります。最初の方「不安の種」辺りを連想させる、都市怪談風の話が目立つのですが、終盤にかかるとやけに説教臭く、「コレ怪談?」と思ってしまうようないや~な雰囲気が充満してきます。
そして、極めつけは作者自身による解説です!
「心霊の類は信じていません」「心霊スポットに行く人間、怪談が下手な人間は愚か」「霊感のスイッチなどいらない」等、挑発的な解説の数々!
確かにそうかもしれませんが、それを言っちゃまずいんじゃないでしょうか?
んじゃ、未だに怪奇ホラーで食ってる(高橋)ヨウスケ先生、(伊藤)潤二先生なんかの巨匠はどう思われるでしょうか?成功することなく道半ばでくたばった好美のぼる、いばら美喜なんかの別の意味での巨匠たちの無念も報われないですよ!(押切先生自身、貸本系ホラー作家からの影響を強く受けていることを語っています)
そもそも、「怪談」というのは「文化」です。泉鏡花やラフカディオ・ハーンが幽霊や妖怪を信じていたかどうかは知りませんが、彼らが暗闇の中で「いとあやし」な雰囲気を意図的に楽しむスキルを持っていたのは確かです。イマジネーションを駆使した知的遊戯、侘び寂との戯れ、「怪談」ってそういうものじゃないですかね!?
ここまで散々なことを吐かせていただきましたが、私はかつての押切作品の大ファンですし、特に初期の作品群は「スカムホラーの最新形にして終着点」ともいうべき得体の知れないパワーに満ち溢れています。「下手糞だけど何かを描かずにはいられない強迫感」に憑りつかれた作品の数々に思わずポカーンすること間違いなし。
名作「4444」 飛ばしまくりです。上空の血走った瞳は日野日出志リスペクトですね。
「好美のぼる」、「いばら美喜」と言ったスカムホラーの巨匠から影響を受けたであろう不条理でぶっ壊れた世界観。先人達は独特の「おじいちゃんテイスト」っていうか「フォークっぽさ」っていうんでしょうか、まあ昭和臭いんですが押切先生の場合は湿気が強めで90年代~00年代前半に隆盛を極めた鶴田法男や黒沢清などの所謂Jホラーの影響も強く感じさせます。
そして、氏の最高傑作と自認してるのが合同誌「カイキドロップ」です。
押切先生を中心に、食えぬ仲である「清野とおる」、何かとイジられキャラの「佐々木崇」、「オガツカヅオ」、そして、かつて「太陽プロ」を率いて実に啓蒙的で素晴らしい貸本作品を連発された知る人ぞ知る伝説の漫画化「池川伸治」が新作を引っ提げての登場!!
カラー絵もかっこいいし、押切&清野のコラム漫画も面白い!そして何よりも池川作品が凄ェ!
現在、絶版で値段が高騰してますが一読の価値を保証します!
御代の新作。大変に心地がよろしいです。
ベスト押切女の子キャラ「ありす」
黒目がちで矢鱈とキラキラしてる今の絵柄は嫌です。
つい先日、発売されたばかりの「ピコピコ少年SUPER」において、例の騒動以降の氏の心境が綴られていて色々と思うところがありました。
氏は今の自分を「糞」と称されていますが私からすると、人気作家になったことによる金銭的な、あるいは配偶者を得たことによる「ある種の余裕」を強く感じました。
なんというか、埋めようのない隔たりを改めて見つめ直した一冊なのでした。
本当に怖い漫画10選 5~10
「呪われた巨人ファン」 城たけし
怪奇漫画ファン(特にスカムホラー)の間では伝説的な人気を誇る世紀の名作!これを読まずに死ねるか!
主人公のひろしは大の巨人キチ。ある日、水道橋で巨人VS阪神選を観戦するひろしだが、試合は掛布のサヨナラHRで巨人の負け。肩を下ろし帰宅するひろしだが、自宅で放送されていたスポーツニュースでは「巨人がサヨナラ勝ち」したとの報道が流れる!自分が観たのは巨人が負けた試合だ!ニュースは嘘つきだ!と疑心暗鬼に陥るひろし!そして、ひろしの奇行は徐々にエスカレートしていき....
とにかく訳が分からない不気味さが充満した作品です。意味不明な怪奇描写が挿入されたりとストーリーも作画も不条理極まりないです。必殺の魔球が大暴走して大炎上したような終末感....一応、ハッピーエンドっぽい終わり方をするんですが何とも形容しがたい消化不良感が残り最悪に凄いです。
「電気蟻〈吾が分裂の華咲く時〉」~新ナショナルキッドより~丸尾末広
中学生の時に古本屋で売ってたHOLY(角川書店刊)というホラーアンソロジーを呼んだ時に衝撃を受けたのがコレ。余りの恐ろしさに脂汗をダラダラ垂らしながら震えた記憶が今でも残っています。(手塚治虫や美内すずえ等の巨匠と一緒に載ってるのがタチが悪い)
んで、成人をとうに過ぎた今になって読み直してみますと、タイトルなんかもろに藤子不二雄A先生のオマージュだし(のちに浦安鉄筋家族の浜岡先生がオマージュを更にオマージュしたたりする)、無作為に挿入される工場や工業機械の赤錆臭さは同時代の塚本晋也や石井聰亙(岳龍)を連想させるインダストリアル&ブルータルなハードコア感に溢れています。こうしてみるとホラーというよりはクールな印象をとても受けます。
最近の丸尾先生ですが、乱歩や夢Qを漫画化した作品も悪くはないんですが私としては80年代後半のジャパコア感溢れる短編が好みです。
小学生の時のトラウマ漫画と問われれば間違いなく私は「ぬ~べ~」と答えます。
人体模型、A、花子さん、人食いモナリザなど後味が悪い話も多く、当時の学校の怪談ブームに上手く乗り大ヒットを生み出した作品と言えるでしょう。(逆に学校の怪談ブームを押し上げたとも言える)
個人的には「ブキミちゃん」以降からバトルやエロにシフトチェンジしすぎて低空飛行気味になってくるのが残念。初期の話はホントに怖い!
「夢幻紳士~怪奇篇~」高橋葉介
数多い葉介作品において最高傑作と断言できるのが、この怪奇篇です。
ブラックジョークやセルフパロディの多い氏の作品において、これだけは終始、幻想&耽美な空気に満ちていて不思議な倒錯感に襲われます。
私としましては美女の美しき自殺&鮮血の美学を描いた「夜会」と、”花火の幽霊”についての問答がお洒落で私的な「花火」が大好き。
「母さんが抱いた生首」川島のりかず
この最高にクールなタイトルとグレイトな表紙絵を見れば分かりますね!お母さんが生首抱えて発狂する話だよ!!
主人公のアヤは殺人現場を目撃してしまい、口封じに暴行され全身マヒの重傷を負います。んで、実のお父さんも交通事故で死んじゃう。不幸のスパイラルの中、お母さんに恋人ができます!んで、その恋人こそがアヤが目撃した殺人犯その人なのでした...
ツッコミどころ満載なガバガバ構成やスカスカな作画、残酷描写&発狂オチの連発からネタ漫画扱いされやすい川島のりかず作品ですが、精神的なインナースペースの暗部を描いた後期の作品群はどれも秀逸で川島自身の人間観というのが万遍なくにじみ出ています。
発狂投げっぱなしオチの多い氏の作品ですが本作の主人公アヤは発狂しませんし、路傍の花のようなある種の悟りのような感覚を得て話を終えます。素晴らしい。