ネココネコロガール

音楽の話題

3月の新作総まとめ その2

 

 

noise myself

noise myself

 

 

「noise myself」冷牟田敬 9.2/10.0

 

元昆虫キッズ、現Paradise、豊田道倫mtvBANDの王子こと冷牟田敬のソロアルバム。

素晴らしい作品だと思います。内容はタイトルの通りでノイズと自身との対話、戯れ。バンド活動ではできない、一人のギタリスト、音楽家としての矜持が自信満々に示されています。昆虫での鈴の音を鳴らすようなアルペジオからパラダイスでの奥行きのあるディストーションまで狂気の片鱗は既に浮き出ててはいたのですがが遂に爆発した感がある。甘美なノイズなシューゲイザーというよりはエメラルズのマーク・マグワイアやマニュアル、ウルリッヒ・シュナウスなどの北欧のラップトップシューゲイザーとリンクするところもあります。

周辺のバンドが「下北沢インディー」「ココ吉系」など安易に括られやすいジャンルではあるのですが、冷牟田氏の音楽だけは超然としていてアホなカテゴライズを許さない凄味があります。

 

 

 

 

 

Double dream is breaking up the door.

Double dream is breaking up the door.

 

 

 

「Double Dream is Breaking Up The Door」Paradise 8.3/10.0

 

ベースの瀬尾マリナ嬢が脱退し、今まで以上にボロッボロのコンディションに陥ったパラダイスがまさかの新作!内容もこれまたボロッボロで前作では比較的聴きとるの簡単だったボーカルがほとんどテキトーに!呼詩はともかく、他の二人までテキトーに歌ってやんの!そんな中で自身らのバンド名である「Paradise」と命名された超キラーチューンを出してくるあたり油断がならない。

んで、新作リリースしたのは良いものの、早速、ドラムの関口萌が脱退!ボロ布一枚の状態になってしまったパラダイスの今後の動向が楽しみです!

 

 

 

 

 

See you, Blue

See you, Blue

 

 

 

「See you,Blue」さらうんど 4.8/10.0

 

鴨田潤のリリックってイルリメ時代は凄く辛辣でその説教臭さが持ち味の一だったわけですが、シンセサイザーを主体としたシティポップであるさらうんどに於いてはそういう要素は不要と考えたのかイマイチ言葉に重みがない。

ちょっと出涸らしの感が強くなってきたので、表っ面だけ綺麗なポップス路線は止めてもう一度ラップをしてみては?と思いました。

 

 

 

 

Messier Objects

Messier Objects

 

 「Messier Oblects」Notwist  5.0/10.0

 

歌なしのサントラです。ファンなら買い。

 

 

 

 

 

 

Sauna

Sauna

 

 「Sauna」Mount Eerie  9.0/10.0

 

ドローン、ノイズの上を伝うはLAKEのアシュレイ嬢の煌びやかなボーカル。そびえ立つ山々と朝焼け、ニュー・デイ・ライジングを予感させる壮大なスケールの作品です。

近年フェスバブルに対し、「ゴミが多い」「純度が低い」と苦言を呈しているだけあり、この荘厳なサウンドスケープは納得です。

もはや、「インディーロック」が「インディー」ではなくなって久しいですが、栄誉ある孤立を選択したマウント・イアリの姿は誰よりも本来の意味でインディーロック的だ。

 

 

 

 

 

 

Strangers to Ourselves

Strangers to Ourselves

 

 

 

「Strangers to Ourselves」Modest Mouse 3.0/10.0

 

前作が凄く好きなんですよ。「Missed The Boat」や「Little Motel」みたいなバンジョーマンドリンを使用したまったり目のミドルチューンが特に気にいってます。狂気のボーカルナンバーや長尺のノイズ、キレの良いポストパンク等、色々と楽しめて凄く良い作品です。

月日は流れ8年、モデストマウスが微妙になって帰ってきた。2曲目が「Float On」的な役割なのは分かりますが他の曲がなんともビミョー。ギター重ね過ぎだしチャカチャカしてやかましい、アイザックのボーカルもなんかパワーが足りない。8年も待たせておいてこれはないわなー

 

 

 

3月の新作総まとめ その1

 

ファンタジー・エンパイア

ファンタジー・エンパイア

 

 「Fantasy Empire」Lightning Bolt   5.0/10.0

 

ここ最近のライトニングボルトって「1曲目のイントロかっけー!ドラムやべー!」「2曲目もテンションたけー!」「3曲目ー!また同じくテンションが高い曲だー!!と来て知らないうちにzzzzzzってパターンが多いです。スタイル的に曲の個性を大して重要視しないバンドだってことは重々承知ですが流石にマンネリ化しすぎなような気がします。

個人的に彼らの最高傑作は2nd?の「Ride The Skies」だと思うのですが、この作品はサイケっぽいフレーズのループだったり音の居合抜きに徐々に鬼ドラムが乗ってくるなど緩急が強めな曲が多く、曲と曲の個性がハッキリしてます。「Hayper Magic~」あたりから今のスタイルが定着してしまっているような気がしますので次は大きな変化が欲しいです。

 

 

 

 

 

パラード

パラード

 

 「パラード」ザ・なつやすみバンド  7.2/10.0

 

メジャーデビュー作。前半に清涼感のあるポップチューン、後半に従来の形に近いしっとり目のバラードと安全策かなーと。スティールギターの客演が印象的な「ユリイカ」は名曲かなーと。ただ、メジャーのバンドとして演奏力に不安があり、先述した客演ミュージシャン達の力が大きいと思います。このクオリティーをライブでも再現できれば大したものではないでしょうか?

あと、折り畳み式のジャケットが鬼カワイイです。

 

 

 

 

 

 

Hexadic

Hexadic

 

 「Hexadic」Six Organs Of Admittance 4.0/10.0

 

ドローン、ドゥームとサイケデリックフォークが折衷した前作「Ascent」は2012年の個人的な年間ベストにノミネートするくらい好きな作品だったんですが今回は全曲ドゥーム、スラッジで全編を通してとにかくうるさくて重い。前作の延長のような作品を期待してたんですが、これはウーンってな感じ。好きな人にはたまらない音だと思いますが....

 

 

 

 

 

 

 

Gliss Riffer

Gliss Riffer

 

 

 

「Gliss riffer」Dan Deacon 8.2/10.0

 

ピッチフォークでの低評価&ジャケットで避けてる人も多いかと思いますが良いですよコレ!前作のコンセプトアルバムより断然良い!オリエンタルな雰囲気のある萌え萌えな女性ボーカルがフューチャリングされててアジアっぽいキッチュな雰囲気が大好きな人間としてはツボ。良い作品!

 

 

 

 

 

 

 

トカレフ

トカレフ

 

 

 

トカレフ大森靖子&THEピンクトカレフ 7.1/10.0

 

最初で最後のアルバムだそうです、茶番臭が漂いますが音自体は中々。「新宿」のアレンジなんかタイトでかっこいい。

現在、レコ発ツアー中の大森さんなんですが地方の公演はほとんど弾き語りみたいなんですよ。アレンジを盛りに盛りまくった「洗脳」の楽曲を弾き語りで再現するのなんて無理ゲーですし、巧いプロのミュージシャンをサポートで雇うなら、いっそのこと安上がりなピントカでツアー回ったほうがいいんじゃないですかね?ライブで演奏できないならレコ発なんて企画するなって話ですよ。

 

 

 

 

 

The Republic (import)

The Republic (import)

 

 

「The Republic」Sam Prekop 6.5/10.0

 

シー&ケイクのサムのソロ作品です。彼はこれまで何枚かソロ作品をリリースしており、基本、シー&ケイクの作品の延長線上というべき歌モノが主体だったのですが今回はボーカルは一切ナシ!ギター封印!シンセサイザーメイン!と勝負に出た感じがあります。シー&ケイクの「Harps」で取り入れられたシンセの音像を更にドープな方向に深化させており、ポストロックよりかはアンビエントに近い感じがします。

本来、ソロアルバムってのはメインプロジェクトではできないことをする実験の場だと思うし、これはこれで十分アリです。シー&ケイクの次回作の布石としてファンなら聴くか価値があると思います。ジャケの猫ちゃんも可愛いです。

 

 

 

 

 

最高新記憶

最高新記憶

 

 「最高新記憶」bacho 7.0/10.0

 

bachoの凄いところは歌詞の一つ一つが確実に聴きとれるってところ。一字一句を噛みしめるように苦吟するボーカルのスタイルは胸に迫るところがある。

フルアルバムで聴くとちょっと長いかな~、もうちょい曲のバリエーションが欲しいかな~と思ってしまうのですが彼らの切実な姿勢にやられてしまい、どうにも低評価にできないのです。個人的には芸風が被るMy Name Is...くらい展開に富んだ曲を作れるようになれば更に良くなる気がします。

 

 

2015年1月~2月まで買ったCD総まとめ!

あんまり買ってません。乱暴に点数付けして適当な感想を書きました。よしなに。

 

<新作>

 

 

Girls In Peacetime Want To Dance

Girls In Peacetime Want To Dance

 

 2.0/10.0

 

文句なしにダメな作品だと思います。耳に残るのがマルクスエンゲルスの焼き直しである1曲目のイントロと絶望的なまでに時代とマッチしていないキッチュなディスコポップ「The Party Line」くらい。

褒めるべき点はジャケットくらいです。キャリア最低の出来。

 

 

 

 

ボトムオブザワールド

ボトムオブザワールド

 

 7.5/10.0

 

ここ10年位で一番良い出来じゃないかと。最近のイースタンって長い曲や捨て曲が多くてどうしてもダレる印象が強かったんですが本作は疾走感のある曲が多くてサクッと食べれるカンジ。「テレビ塔」「コンクリートの川」なんか若々しさがある。

「もうやることは全てやった」という理由でベースの二宮さんが辞めちゃうみたいですが、イースタンなんて僕が初めて聴いた時から出涸らしの金太郎飴だったわけで...愛すべきマンネリとして活動を継続してほしいのだが....

 

 

 

 

 

こんにちは、はじまり。

こんにちは、はじまり。

 

 6.3/10.0

 

前作「夜はそのまなざしの先に流れる」という作品がほぼ完璧に近いモノだったので、どうしてもデキ落ちはしょうがないのかなー

NINGEN OKが参加した「はじまり」なんかは今までにない歪んだギターがギュンギュンしてて聴き所はけっこーあるんですが、作品全体の調和美がハンパない前作と比べるとやはり遥かに劣るデキ~

 

 

 

 

 

シチズン・ゾンビ

シチズン・ゾンビ

 

 7.2/10.0

 

賛否ありますが僕はけっこー好きです。チャカチャカしたオーソドックスなファンクなんだろうな~と思ってたらヘヴィーでノイジーな曲が多いのね!あと、メロディーがちゃんとしてる!「Nowhere Girl」とか!

 

 

 

 

<微妙に旧作>

 

Somehow, Somewhere

Somehow, Somewhere

 

 6.0/10.0

 

満を持しての1stフルアルバムなんでしょうが、去年9月に発売された平賀さち枝との共作「白い光の朝に」が名曲すぎてどうしても見劣りしますね!

こういうアノラック系のネオアコっぽいバンドは引き出しが少なそうだし早くも底が見えてしまった感がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

I'm so sorry, mom

I'm so sorry, mom

 

 7.0/10.0

 

5曲しか入ってないので今の時点で評価するのもアレなんですが僕は中々好きです。ホムカミと同じくサブカルと親和性の高い男女2人組なのですが、こちらのほうが良い意味でこじんまりとしててフォーク歌謡っぽい。

麓健一平賀さち枝、oono yuukiなど寡作なアーティストの多いkitiですが、こちらは早くフルアルバムを期待したい。

 

 

本当に怖い漫画 外伝~押切蓮介~

今まで大好きだったものが、ある出来事をキッカケに大嫌いになってしまう...こういう体験ってないでしょうか?私の場合は押切蓮介がソレに当たります。

例の事件 ではなく、それより少し前に発売された「暗い廊下とうしろの玄関」というコミック幽に掲載された短編をまとめた作品集が決定打となりました。

 

 

 

 

彼岸島化&ヒャッハー&無双のループを繰り返し、希釈化した「夕闇特攻隊」、夕闇と大して内容が変わらず、ただ残虐なだけで哲学や魅力がない悪党をボコボコにするだけだった「焔の眼」、ゲームセンターCX的な友達の家でゲーム眺めてる感をコッテコテのラブコメと融合させた悪名高い「ハイスコアガール」と私の押切先生に対する不信感は日に日に高まっていました。

 

そして、本作。

本作は長期にわたって掲載されていた作品をまとめただけに、初期と終盤では絵も作風もだいぶ異なります。最初の方「不安の種」辺りを連想させる、都市怪談風の話が目立つのですが、終盤にかかるとやけに説教臭く、「コレ怪談?」と思ってしまうようないや~な雰囲気が充満してきます。

 

そして、極めつけは作者自身による解説です!

「心霊の類は信じていません」「心霊スポットに行く人間、怪談が下手な人間は愚か」「霊感のスイッチなどいらない」等、挑発的な解説の数々!

確かにそうかもしれませんが、それを言っちゃまずいんじゃないでしょうか?

んじゃ、未だに怪奇ホラーで食ってる(高橋)ヨウスケ先生、(伊藤)潤二先生なんかの巨匠はどう思われるでしょうか?成功することなく道半ばでくたばった好美のぼるいばら美喜なんかの別の意味での巨匠たちの無念も報われないですよ!(押切先生自身、貸本系ホラー作家からの影響を強く受けていることを語っています)

 

そもそも、「怪談」というのは「文化」です。泉鏡花ラフカディオ・ハーンが幽霊や妖怪を信じていたかどうかは知りませんが、彼らが暗闇の中で「いとあやし」な雰囲気を意図的に楽しむスキルを持っていたのは確かです。イマジネーションを駆使した知的遊戯、侘び寂との戯れ、「怪談」ってそういうものじゃないですかね!?

 

 

 

 

 

 

ドヒー! おばけが僕をペンペン殴る!

ドヒー! おばけが僕をペンペン殴る!

 

ここまで散々なことを吐かせていただきましたが、私はかつての押切作品の大ファンですし、特に初期の作品群は「スカムホラーの最新形にして終着点」ともいうべき得体の知れないパワーに満ち溢れています。「下手糞だけど何かを描かずにはいられない強迫感」に憑りつかれた作品の数々に思わずポカーンすること間違いなし。

 

 

 

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 名作「4444」 飛ばしまくりです。上空の血走った瞳は日野日出志リスペクトですね。

 

好美のぼる」、「いばら美喜」と言ったスカムホラーの巨匠から影響を受けたであろう不条理でぶっ壊れた世界観。先人達は独特の「おじいちゃんテイスト」っていうか「フォークっぽさ」っていうんでしょうか、まあ昭和臭いんですが押切先生の場合は湿気が強めで90年代~00年代前半に隆盛を極めた鶴田法男や黒沢清などの所謂Jホラーの影響も強く感じさせます。

 

 

 

 

 

カイキドロップ

カイキドロップ

 

 

そして、氏の最高傑作と自認してるのが合同誌「カイキドロップ」です。

押切先生を中心に、食えぬ仲である「清野とおる」、何かとイジられキャラの「佐々木崇」、「オガツカヅオ」、そして、かつて「太陽プロ」を率いて実に啓蒙的で素晴らしい貸本作品を連発された知る人ぞ知る伝説の漫画化「池川伸治」が新作を引っ提げての登場!!

カラー絵もかっこいいし、押切&清野のコラム漫画も面白い!そして何よりも池川作品が凄ェ!

現在、絶版で値段が高騰してますが一読の価値を保証します!

 

 

 

 

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御代の新作。大変に心地がよろしいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ベスト押切女の子キャラ「ありす」

黒目がちで矢鱈とキラキラしてる今の絵柄は嫌です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピコピコ少年SUPER

ピコピコ少年SUPER

 

 つい先日、発売されたばかりの「ピコピコ少年SUPER」において、例の騒動以降の氏の心境が綴られていて色々と思うところがありました。

氏は今の自分を「糞」と称されていますが私からすると、人気作家になったことによる金銭的な、あるいは配偶者を得たことによる「ある種の余裕」を強く感じました。

なんというか、埋めようのない隔たりを改めて見つめ直した一冊なのでした。

 

 

 

 

 

本当に怖い漫画10選 5~10

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「呪われた巨人ファン」 城たけし

 

怪奇漫画ファン(特にスカムホラー)の間では伝説的な人気を誇る世紀の名作!これを読まずに死ねるか!

主人公のひろしは大の巨人キチ。ある日、水道橋で巨人VS阪神選を観戦するひろしだが、試合は掛布のサヨナラHRで巨人の負け。肩を下ろし帰宅するひろしだが、自宅で放送されていたスポーツニュースでは「巨人がサヨナラ勝ち」したとの報道が流れる!自分が観たのは巨人が負けた試合だ!ニュースは嘘つきだ!と疑心暗鬼に陥るひろし!そして、ひろしの奇行は徐々にエスカレートしていき....

 

とにかく訳が分からない不気味さが充満した作品です。意味不明な怪奇描写が挿入されたりとストーリーも作画も不条理極まりないです。必殺の魔球が大暴走して大炎上したような終末感....一応、ハッピーエンドっぽい終わり方をするんですが何とも形容しがたい消化不良感が残り最悪に凄いです。

 

 

 

 

 

新ナショナルキッド

「電気蟻〈吾が分裂の華咲く時〉」~新ナショナルキッドより~丸尾末広

 

中学生の時に古本屋で売ってたHOLY(角川書店刊)というホラーアンソロジーを呼んだ時に衝撃を受けたのがコレ。余りの恐ろしさに脂汗をダラダラ垂らしながら震えた記憶が今でも残っています。(手塚治虫美内すずえ等の巨匠と一緒に載ってるのがタチが悪い)

んで、成人をとうに過ぎた今になって読み直してみますと、タイトルなんかもろに藤子不二雄A先生のオマージュだし(のちに浦安鉄筋家族の浜岡先生がオマージュを更にオマージュしたたりする)、無作為に挿入される工場や工業機械の赤錆臭さは同時代の塚本晋也石井聰亙(岳龍)を連想させるインダストリアル&ブルータルなハードコア感に溢れています。こうしてみるとホラーというよりはクールな印象をとても受けます。

最近の丸尾先生ですが、乱歩や夢Qを漫画化した作品も悪くはないんですが私としては80年代後半のジャパコア感溢れる短編が好みです。

 

 

 

 

 

 

 

地獄先生ぬーべー 全31巻完結(ジャンプ・コミックス) [マーケットプレイス コミックセット]

「地獄先生ぬ~べ~」岡野剛 真倉翔

 

小学生の時のトラウマ漫画と問われれば間違いなく私は「ぬ~べ~」と答えます。

人体模型、A、花子さん、人食いモナリザなど後味が悪い話も多く、当時の学校の怪談ブームに上手く乗り大ヒットを生み出した作品と言えるでしょう。(逆に学校の怪談ブームを押し上げたとも言える)

個人的には「ブキミちゃん」以降からバトルやエロにシフトチェンジしすぎて低空飛行気味になってくるのが残念。初期の話はホントに怖い!

 

 

 

 

 

 

 

夢幻紳士 (怪奇篇) (ハヤカワコミック文庫 (JA889))

「夢幻紳士~怪奇篇~」高橋葉介

 

数多い葉介作品において最高傑作と断言できるのが、この怪奇篇です。

ブラックジョークやセルフパロディの多い氏の作品において、これだけは終始、幻想&耽美な空気に満ちていて不思議な倒錯感に襲われます。

私としましては美女の美しき自殺&鮮血の美学を描いた「夜会」と、”花火の幽霊”についての問答がお洒落で私的な「花火」が大好き。

 

 

 

 

 

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「母さんが抱いた生首」川島のりかず

 

 この最高にクールなタイトルとグレイトな表紙絵を見れば分かりますね!お母さんが生首抱えて発狂する話だよ!!

 

主人公のアヤは殺人現場を目撃してしまい、口封じに暴行され全身マヒの重傷を負います。んで、実のお父さんも交通事故で死んじゃう。不幸のスパイラルの中、お母さんに恋人ができます!んで、その恋人こそがアヤが目撃した殺人犯その人なのでした...

 

ツッコミどころ満載なガバガバ構成やスカスカな作画、残酷描写&発狂オチの連発からネタ漫画扱いされやすい川島のりかず作品ですが、精神的なインナースペースの暗部を描いた後期の作品群はどれも秀逸で川島自身の人間観というのが万遍なくにじみ出ています。

発狂投げっぱなしオチの多い氏の作品ですが本作の主人公アヤは発狂しませんし、路傍の花のようなある種の悟りのような感覚を得て話を終えます。素晴らしい。

 

 

本当に怖い漫画10選 1~5

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唐突ですが挙げてみたいと思います。

 

 

 

蔵六の奇病 (1979年) (ヒットコミックス)

「水の中」~蔵六の奇病より~日野日出志

 

サウスパークというアニメに登場するケニー(貧乏だけど美少年)という少年は作中で毎週のように死にます。惨たらしく理不尽に。(次の週ではなぜか生き返って、お約束のようにまた死ぬ)

「ケニーはなぜ死ぬのか?」という問いに、製作者のトレイ・パーカーマット・ストーンは「貧乏だからさ!」と切って捨てます。

日野日出志の作品に出てくる登場人物もよく作者に殺されます。それもなぜか、体に障害を持っていたり、知能的に劣る人間がターゲットにされます!彼らは何も悪いことなんかしていないのに!

「水の中」に登場する主人公の少年は交通事故で四肢が切断され、ほぼクリーチャーと化した見るに耐えない容貌...楽しみは水槽の中の魚を眺めることと美しい母親....

しかし、母親はお金のために夜のお仕事を始めるようになり...次第に....

これだけでバッドな展開が予想されますね....

同じフリークス&心中モノで「蝶の家」という作品もありますが、こちらも超名作です。

サウスパークのケニーの場合、製作者の悪趣味により死ぬことが水戸黄門の印籠よろしくのお約束の無限ループとなっているわけですが、日野作品の場合は「死」が一種の「胎内回帰」に結びついているのが救いかも。。。

なお、日野日出志作品にはカフカの「変身」よろしくな不条理モノや夢オチモノが非常に多く、傑作は70年代の物に寄っているのも特徴的です。

70年代に狂気の作品を大量に生み出したツケなのか80年代に入ると作品数が極端に減り、90年代になると本人が描いてるかどうかも分からないようなレディコミ調の絵柄になったりと、迷走しまくってます。

 

 

 

 

 

 

 

亀ノ頭のスープ―河出文庫版

「ミクロの精子圏」~亀の頭のスープより~根本敬

 

人間には生まれながらに決定的な優劣の差(スーパーノヴァ級の革命が起こらないかぎり覆せない)があり、それは場合によっては遺伝子レベルで先祖末代にまで祟ることもある。暴力と被暴力の螺旋は因果を渡る無限鉄道の如しなり。

成人してから読んだため、人格への影響はさほどありませんでしたがロウティーン辺りに読ませたら絶対悪影響が出ますよ。

 

 

 

 

 

 

四丁目の夕日 (扶桑社文庫)

 

主人公のたけしは印刷屋のセガレで貧乏だが国立大学にストレートで

入学出来るほどの学力を持った努力の人。

しかし、母親が焼却炉でスプレーを暴発(ゴア描写あり)させてしまい重傷を負ってしまいます。学費を稼ごうと身を粉にして印刷所の切り盛りを行う父親ですが過重労働が祟ってか印刷機に挟まれグチャグチャにプレスされるという衝撃的な事故死を遂げてしまいます。進学への道を諦め、印刷所を継ぐ決意を固めたたけし。しかし....

 

「生まれ持った不幸には抗えない」「人生とは不条理なり」

山野の人間観がよ~く表れた悪意満点の傑作。余りににも恐ろしい作品であるがゆえに、逆に真剣に向き合わねばならない!現実を直視せよ!

 

 

 

 

 

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「恐怖!人喰い猫」川崎ゆきお

 

あの根本敬をして「最もガロ的な作家」と言わしめる「猟奇王」こと川崎ゆきお先生がスカムホラーの金字塔である立風書房と手を組んだ!異端と異端の一夜の逢瀬!奇跡が起こらないわけがない!

 

んで、内容なんですが中二を拗らせた中学生(♀)が猫の町に迷い込んだ挙句、謎の人面瘡に苦しめられるという精神的なインナースペースもの。話としてはそんなに珍しくない題材なのかもしれませんが御代の絵がとにかくイッちゃってる。

試し読みもできるので興味もった方はぜひ!本自体は絶版だけどね!

 

 

http://kawasakiyukio.com/e-books/04/1.html

 

 

 

 

 

 

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「感情のある風景」~夢見る機械より~ 諸星大二郎

 

もし、幸せ、悲しみ、一切合切の感情を捨ててしまったら、自分の前にはどのような風景が映るのだろうか?感情のない風景、それはとても恐ろしい。

 

妖怪ハンター」や「孔子暗黒伝」等の伝記・偽史系の先入観から諸星=難解なイメージを持たれやすい諸星作品ですが、彼は「世にも奇妙な物語」にストーリーが採用されるように天性のストーリーセンスを持った作家です。この作品集に収録されている初期作品はどれもSFをベースとしたものばかりでどれもが怖い!

絶版になってしまっていますが中古でよく見かけますので入手は容易です。必読。

 

 

 

 

たのしいえんそく~青森八戸市 カローラ山荘 その2~

 

廃墟の魅力ってなに?

私はとどのつまり「謎」にあると思うのです。「この建物はいつ誰が何のために作ったのか?」 例えるとドラクエ3アリアハンの街を出て真っ先に誰もが思う「あの塔なに!?」だとかマップの隅にあるほこらに入って「暗っ!不気味!!」みたいな感覚に似てる気がします。

 

まあ、ゲームにしろ廃墟にしろインターネットで調べれば何かしらの情報が出てくるわけで、自分だけが知っている新規開拓の廃墟を見つけるというのは困難なわけです。ネット情報の後追いにならざるをえないのは仕方がないことですが実際の廃墟にはネットにはないリアルがあります。限りなくアザーサイドに近い場所に存在するリアルを私は感じたいのです。では、カローラ山荘2回目スタートです。

 

 

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ロマサガ3の洞窟寺院のボスみたい

 

 

 

 

 

 

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像の向きを変えると階段が出現しそう。

このように廃墟にRPG要素はつきものなのです。

 

 

 

 

 

 

 

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「蝶の家」日野日出志ですね!

「この建物の中は一体どうなっていて、そもそも何のために建てられたのか?」

このような妄想を張り巡らされずにはいられません。

 

 

 

 

 

 

 

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目がヤバいウシ君。水牛チックなのがインドっぽくて大変良い。

 

 

 

 

 

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この場所の空気はヤバい!

恐らく症状が悪化した患者を収容する座敷牢的なものなのではないかと推測したのですがどうでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

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意味不明な真言?が辺りにビッシリ!