本当に怖い漫画10選 1~5
唐突ですが挙げてみたいと思います。
「水の中」~蔵六の奇病より~日野日出志
サウスパークというアニメに登場するケニー(貧乏だけど美少年)という少年は作中で毎週のように死にます。惨たらしく理不尽に。(次の週ではなぜか生き返って、お約束のようにまた死ぬ)
「ケニーはなぜ死ぬのか?」という問いに、製作者のトレイ・パーカーマット・ストーンは「貧乏だからさ!」と切って捨てます。
日野日出志の作品に出てくる登場人物もよく作者に殺されます。それもなぜか、体に障害を持っていたり、知能的に劣る人間がターゲットにされます!彼らは何も悪いことなんかしていないのに!
「水の中」に登場する主人公の少年は交通事故で四肢が切断され、ほぼクリーチャーと化した見るに耐えない容貌...楽しみは水槽の中の魚を眺めることと美しい母親....
しかし、母親はお金のために夜のお仕事を始めるようになり...次第に....
これだけでバッドな展開が予想されますね....
同じフリークス&心中モノで「蝶の家」という作品もありますが、こちらも超名作です。
サウスパークのケニーの場合、製作者の悪趣味により死ぬことが水戸黄門の印籠よろしくのお約束の無限ループとなっているわけですが、日野作品の場合は「死」が一種の「胎内回帰」に結びついているのが救いかも。。。
なお、日野日出志作品にはカフカの「変身」よろしくな不条理モノや夢オチモノが非常に多く、傑作は70年代の物に寄っているのも特徴的です。
70年代に狂気の作品を大量に生み出したツケなのか80年代に入ると作品数が極端に減り、90年代になると本人が描いてるかどうかも分からないようなレディコミ調の絵柄になったりと、迷走しまくってます。
人間には生まれながらに決定的な優劣の差(スーパーノヴァ級の革命が起こらないかぎり覆せない)があり、それは場合によっては遺伝子レベルで先祖末代にまで祟ることもある。暴力と被暴力の螺旋は因果を渡る無限鉄道の如しなり。
成人してから読んだため、人格への影響はさほどありませんでしたがロウティーン辺りに読ませたら絶対悪影響が出ますよ。
主人公のたけしは印刷屋のセガレで貧乏だが国立大学にストレートで
入学出来るほどの学力を持った努力の人。
しかし、母親が焼却炉でスプレーを暴発(ゴア描写あり)させてしまい重傷を負ってしまいます。学費を稼ごうと身を粉にして印刷所の切り盛りを行う父親ですが過重労働が祟ってか印刷機に挟まれグチャグチャにプレスされるという衝撃的な事故死を遂げてしまいます。進学への道を諦め、印刷所を継ぐ決意を固めたたけし。しかし....
「生まれ持った不幸には抗えない」「人生とは不条理なり」
山野の人間観がよ~く表れた悪意満点の傑作。余りににも恐ろしい作品であるがゆえに、逆に真剣に向き合わねばならない!現実を直視せよ!
「恐怖!人喰い猫」川崎ゆきお
あの根本敬をして「最もガロ的な作家」と言わしめる「猟奇王」こと川崎ゆきお先生がスカムホラーの金字塔である立風書房と手を組んだ!異端と異端の一夜の逢瀬!奇跡が起こらないわけがない!
んで、内容なんですが中二を拗らせた中学生(♀)が猫の町に迷い込んだ挙句、謎の人面瘡に苦しめられるという精神的なインナースペースもの。話としてはそんなに珍しくない題材なのかもしれませんが御代の絵がとにかくイッちゃってる。
試し読みもできるので興味もった方はぜひ!本自体は絶版だけどね!
http://kawasakiyukio.com/e-books/04/1.html
「感情のある風景」~夢見る機械より~ 諸星大二郎
もし、幸せ、悲しみ、一切合切の感情を捨ててしまったら、自分の前にはどのような風景が映るのだろうか?感情のない風景、それはとても恐ろしい。
「妖怪ハンター」や「孔子暗黒伝」等の伝記・偽史系の先入観から諸星=難解なイメージを持たれやすい諸星作品ですが、彼は「世にも奇妙な物語」にストーリーが採用されるように天性のストーリーセンスを持った作家です。この作品集に収録されている初期作品はどれもSFをベースとしたものばかりでどれもが怖い!
絶版になってしまっていますが中古でよく見かけますので入手は容易です。必読。