2014 ベストオルタナティブアルバム
「Beauty & Ruin」Bob Mould
示唆的なタイトル、ジャケットの若き日のボブと老成されたし現在のボブの対比。何かネガティブな雰囲気が漂っている感じがします。しかし、蓋を開けてみると中身は30年以上ある彼のキャリアの中でも最も陽性でパワフルなパンクロックチューンが展開されています。
PV「The War」の冒頭、哲人あるいはIT長者のような知性を放つボブ兄貴、おそらくこれも彼の一面なのでしょう。演奏が始まると一変、汗だくでギターを掻き鳴らす彼の様はファクトリーやワゴンが似合う動力ガソリンの重機兵といった感じだ。リズム隊はツアーメンバーとして不動のポジションを確立したJon Wurster(スーパーチャンク、マウンテンゴーツ)、Jason Narducy だ!ハスカードゥー、シュガーと人間関係のトラブルが原因でバンドが短命に終わってしまうボブ兄貴ですが彼らとの体制は盤石で、さながら竹馬の友のよう。
本作は終始ハイテンションが貫かれる最高のパンクロックアルバムです。しかし、ハスカー時代の割れんばかりのノイジーなギター、シュガー時代のオルタナ感溢れるトリッキーなコード進行は薄れ、メジャーでポジティブな分かりやすいメロディー、芯の太さが確かに感じられます。隠者ではなく常に最前線で、老いてなおたくましいボブ・モウルドの今を感じられる素晴らしい作品です。
Bob Mould - The War (Official Music Video) - YouTube
「Close To The Glass」 The Notwist
なんでこんなに評価が低いんでしょうか!?
もろにジャーマンロックで一聴すると難解な冒頭の2曲から恐らくNotwist史上最もポップな曲「Kong」への流れは完璧ですよ!
アンチコンやモーミュージックと関連性が強いアーティストへの不当な評価はなんなんでしょうか?
ドミノではなくサブポップからリリース
The Notwist - Kong (Official Video) - YouTube
かなり歪ませた楽曲が目立ちます
The Notwist Hour Drive [Download] - YouTube
俺マン2014
同人誌は無し!
「少女終末旅行」つくみず
文明が滅んだ世界をミリタリールックの二人の少女がクッケンクラートに乗り、目的もなく放浪する新機軸の日常系。既に終わっているのだから目的も結末も必要ない、いつ終わっても良い感じの話だがやけに図太くドライな二人に知らずのうちに愛着心が...
「ハクメイとミコチ」樫木祐人
小人たちの日常!
ハクメイがDOKATAをし、センがおめかしをする回が印象的。
相変わらず水木プロばりの背景の書き込みと美味そうなメシ!
「すみれファンファーレ」松島直子
ソンチェフ編完結。片親設定の漫画ってたくさんありますけど、大抵は死に設定だし作者が男性って場合が多いと思うんです。すみれちゃんの場合は作者が女性だし「母子家庭」という設定が作品の根幹にあるのが大きい。Eテレあたりでアニメ化希望。
「青い鱗と砂の町」子森羊仔
茨城の海沿いの町に住んだことがあるので凄く親近感が湧きます。
古代からの人魚や竜神信仰をモチーフにしてると思うんですが上手く少女漫画的にアレンジできてるなーと。元ネタは常陸太田の金砂神社磯出大祭でしょうか?
表紙からして最高ですね。単行本未収録の作品が腐るほどあると思うのでトラッシュアップさんに期待!
「ケンガンアシュラ」だろめおん、 サンドロビッチ・ヤバ子
「あーバキじゃん」「どっかで見たことある設定だなー」と思いつつもいつの間にか毎週の更新が楽しみになってしまいました。
昔はバトル系の漫画を週刊雑誌で立ち読みすることが多かったですが今は楽しみなやつがウェブ連載に移っているというパターンが多い。というか、週刊の漫画雑誌に楽しみがない!
「レストー夫人」 三島 芳治
ある高校の学園祭の演目である「レストー夫人」とレストー夫人役のめいた美少女・志野を巡る群像劇。
とにかくセリフ回しが洒脱!志野によるダンスの講釈、ラストに志野の本質の一部が明らかになるシーンに少しばかりのカタルシスを感じる。「少し」なのが重要。
2014ワーストリイシュー
「School Girl Distortional Addict 15th Anniversary Edition」 ナンバーガール
正直言ってリマスターされてること以外は買い要素がないです。折角の記念盤なのに装丁を豪華にするだとかメンバーのコメントを入れるだとかの小粋な計らいは一切なし。薄っぺらい紙1枚にロッキングオンの編集者のライナーノーツが付いてるだけ、なんじゃいな。
2枚目のディスクのほうもオリジナルの収録曲順にライブ音源をぶつ切りにぶち込んだだけの雑な作り。一応、未収録音源らしいですが全然レア感ないのはなぜでしょうか?ブッチャーズとかナンバガは未収録音源だとかシングルB面だとか乱発してレコード会社が味を染めてる感がハンパないです。
こういうどうでもよさげなライブ音源を収録するならクッソ音が小さいKOGA時代の1stをジョイントさせるとか色々とやり方がある気がします。同じ時期にソニーからオアシスの記念盤が出ていますが出来が段違いです。ユニバーサルミュージックは巨大企業のくせしてケチすぎませんかね?
「WHO WILL CUT OUR HAIR WHEN WE'RE GONE? 」Unicorns
リマスター国内盤がウルトラヴァイブから出ると聞いてポチッたらマンマと騙されました。CDに帯だけが付いて、対訳どころかライナーノーツさえなし!それで¥2200!輸入盤のが安い!しかも帯には「歌詞・解説は付いていません」とご丁寧な注意書きが...ネットでメクラ買いするユーザーへの戒めですかね!!
とにかく、輸入盤国内仕様と表記して帯だけ付けて売る商法をなんとかしてほしい。ピンクフロイドの新作も同じ輸入盤国内仕様とクレジットされてましたが立派なブックレットと解説が付いてましたよ!(こちらはソニーミュージックから発売)
実は私、今年になってこのメーカーさんから他にも3枚のCDを買ってるようなのですが仕様は以下の通りです。
「Days Of Abandon」Pains Of Pure At Heart
対訳有り ライナー有り ボートラ有り 帯有り ¥2200
「Only Run」Clap Your Hands Say yeah
対訳有り ライナー有り 帯有り ¥2200
帯のみ(曲名に誤植多数) ¥2200
ペインズはかなりまともな作り(他社には劣る)でCYHSYも印刷の雑さが見られるがまあ良しとしよう。マフスのやつは論外で曲名すら間違ってる始末。アーティストによって優劣をつけてるのかは知りませんがあまりにもヒドイです。一昔前のホステス以下!!まあ、メーカー名を見ずに買ってしまう私自身が一番アレなのかもしれないですが....
2014 ベストリイシュー
「no.1 oracle (+ bonus tracks)」uri gagarn
廃盤でボリプライスが付いていた2ndアルバムに10年以上前に出たデモ音源4曲(これらの完成版は1stアルバムに収録。廃盤&高値のため未聴)が追加されて再登場。
とにかく、追加のデモ音源4曲の出来が素晴らしいです。June Of 44やSlintを彷彿とさせる静と轟をジョイントさせた90年代のポストハードコア的なサウンドなんですが、とっつき難さはなくむしろポップに聴こえるほど。
ネハンベースの残党が加わった3rd以降の編成も好きなんですが、鍵盤を使用したトリッキーさと儚さを演出したこの時期の作品のほうが僕は好みです。
多分、威文橋もマンネリ化と商業化が激しいgroup_inouより自由に遊べるユーリでの活動のほうが楽しんじゃないかなー
TOYメロコア?なピコピコ感。こういうザックリとしたパンク系の曲もユーリの芸風の一つですね。
uri gagarn / Korobbokuru by aLPs - Hear the world’s sounds
これらの楽曲が滅茶苦茶ツボでした。
uri gagarn / bonus tracks digest by aLPs - Hear the world’s sounds
「Definitely Maybe (Remastered) (Deluxe)」 Oasis
熱心なオアシスファンでは全然ないんですが「オアシスっていいな~」って思える豪華盤ですね。恐らく1st期のオアシスをコンパイルした内容なんじゃないないでしょうか?ユニバーサルが頻繁に出してるダメなデモ音源だけを集めたデラックスエディションとは違います!「Whatever」のようなアルバムとは直接関係のないシングル曲やB面も全て収録、ノエルによる曲解説、日本におけるブリットポップブームの当事者であロキノン増井や妹沢によるライナーノーツと、まさに完全版と呼ぶに近いデキだと思います。
Whateverのストリングスのみのバージョン。こういうのを入れてくれの嬉しい。
Oasis Whatever 'Strings' - YouTube
2014ベストトラック集と雑感
トラック単位でプレイリストを作成しました。twitterでいつも載せてるスクショと同じやつです。
けっこーバランスを重視しして選曲したので極端なテクノだったりアンビエント系は除外したのですー
<雑感>
ボヤキです。すいません
外国のメディアの年間ベストディスクが上がってきてますが、とりわけ目立つのがSt.VincentやWar On Drugsとかの名前。なんというか、ロッキングオンの年間ベストがオアシスやレディオヘッドだった時と同じくらいのマンネリ感、否、ガッカリ感と言うべきでしょうか。衆愚の王たるNMEが小手先頼みのUSインディーにすがるとはガッカリだぞ!
USインディーが既に「インディー」の範疇にないというのはかなり前から指摘されていることですが、これらのインディーロックが大衆性を獲得できたかというと答えは「ノー」ではないでしょうか?インターネットでの評判は良いがチャートアクション自体は薄く、周囲で彼らの名前を知っているのは一部の音楽好き、というのが現状でしょう。
「インディー」という言葉が独自性を失い、形骸と化し、ある種のテンプレ化してるのは日本も同様です。乱暴に十把一絡げにしてしまうと、「渋谷・下北沢インディー系」のアーティストが漂わしている雰囲気ですね。「無印が似合う」「細い」「アシンメトリー」「矢鱈とチャカチャカしたギター」「西村ツチカ」「大橋裕之」....
「音」とは本来的に「警告」をし、「言葉」は「呪詛」、「纏い」は「威嚇」「自己を誇大に示す」ことを意味する。故にロックミュージックはベットリと血塗られた音楽であり、卑小な存在が放つありったけの恨み言であると言えます。こういう旧弊的な考えで音楽と向き合う僕にとって、「あんまり過剰に纏わず、盛らず、言わず」が美徳?な全世界の「インディーロックに僕は違和感を感じずにいらえれません。
恥を売ってナンボの商売でしょうが!
プレイリストから何曲かピックアップ!
平賀さち枝とホームカミングス "白い光の朝に" - YouTube
関西が拠点であるにも関わらず渋谷・下北沢インディー系の顔になりつつあるホムカミ。サブカル大学生っぽい雰囲気に「ん?」となりつつも楽曲のクオリティーは非常に高い。
東京スーパースターズ - "シマネ" MV - YouTube
来年の動向が楽しみなのがベテラン 東京スーパースターズ!ついにアルバム?
根っこにハードコアが入ってるバンドはパッシヴスキルが高く安心して聴ける
Bob Mould - The War (Official Music Video) - YouTube
やっぱパンクですよ。ギター弾いて歌って主張してこそのミュージシャンでしょ!
2014ワーストアルバムカバー
5枚選出しました。ごめんなさい!
「Two」Owls
血まみれのノエル、謎の美少女アニメやトリックアートのコラージュなど寓意的な解釈をできそうですが、おそらくただの悪ふざけだと思われます。(血まみれの兄貴は弟からの意趣返し?)
内容は「あーowlsだー兄貴だー」ってカンジでした。歴史的な2枚目を発表できたのはいいですが、兄弟の関係が悪化したようで「一体こいつら何がしたかったんだ?」ってな具合のリユニオンでした
「Art Official Age」Prince
作品の内容はかなり良いです!殿下の声の調子がいいのかボーカリストとしてのプリンスを十分に楽しめます。バラードは珠玉の出来!
ただ、このジャケットでは新規開拓はできそうにないよなぁ...
殿下のジャケットはどれも大体ヒドイわけで、それが日本での苦戦の足かせになってるのは明確です。しかし、ジャケットのヒドさを楽しむのもプリンスの味わい方の一つなわけですよ!ドリアンは臭ほど果実が美味いと言いますしねぇ
「きゅるきゅる」大森靖子
これ家族とか恋人にあんまり見られたくないよなー?なー?
「First Album」tofubeats
80年代を知らない世代が90年台も知らないような若者にカリソメのディスコを押し売りするやり方に疑問を抱くようになった。潜在的なノスタルジーを煽るやり方は「オールウェイズ 3丁目の夕日」とかと大して変わりません。
ちなみに前作「lost decade」は2013年の私的年間ベストに選出させていただいております。
「マジックモーメント」ふくろうず
ファンでなければ絶対にスルーしてしまう淡白なジャケット。
殿下や大森さんとは真逆ですね。作品もメジャーに移籍してから質がどんどん低下しているようにかんじます。
2014 ベストアルバムカバー10選
年間ベストはじめまーす
まずはジャケット部門からー
1 「AFTER HOURS」シャムキャッツ
ユースカで活躍する若手イラストレーター兼漫画家のサヌキナオヤさんによるジャケット。平凡であるがゆえの一種の煌めきを帯びた都会の生活の一瞬を捉えた素敵な一枚ですね。
2 「Benji」Sun Kil Moon
マーク・コザレクには珍しく黒っぽくないジャケット。車窓から見える田舎の原風景はジャケットの題材としは平凡ですがSun Kil Moonのようないぶし銀が使うと説得力が湧いてくるのはなぜでしょう。
ピッチフォークで矢鱈と高い評価を受けてのが印象的なんですがマーク・コザレクの作品ってどれも常に同じような出来だと思うんですよねー。
3 「Ruins」Grouper
デビュー作から一貫して黒いです!まあ、クランキーに所属しているアーティストのほとんどが黒ジャケットばっかりなんですがね。
作品の内容も素晴らしかったのでそれについてはまたの機会に。
4「Beauty & Ruin」Bob Mould
こっちも「破滅」ですか!?
若き日のゲイ親父と現在のゲイ親父が重なったジャケット印象的。
「Ruin」とはありますが作品自体は超前のめりのハイパーアクティヴな内容。こちらも別の枠で語りたいです。
5 「Here & Nowhere Else」Cloud Nothings
Slintっぽい!Penfoldも入ってる!これは大いに期待ができるぞ!
とジャケットを見て確信したのですが....
これも別枠で語らせてください
6「YANKEE」 米津玄師
米津さんのイラストなんだかんだで好きです、分厚い装丁の限定版買っちゃいましたからね。
作品自体はカッティングがチャカチャカしたコミカルな曲が多く感じた。「ViVI」みたいな曲がもっとあってもいい気がする
7 「マラディーズ」perfectlife
良いジャケです。
元We Are!の板垣周平さんの新バンドなのですがパンクっぽさは大きく減退し室内的で地味な作りに
8「Sea When Absent」A Sunny Day In Glasgow
ASDIG的トロピカーナ、良い作品です。ボーカルの声がだいぶ聴きとり易くなり、作品毎に大きな変化を感じることができる興味深いバンド。
個人的には前作「Ashes Grammer」がベスト。
9 「Heartleap」Vasthi Bunyan
今年で70歳になるおばあちゃんのセンスで作られた作品です。
これも別枠で
10 「Tied to a Star」J.Mascis
みんな大好き謎キャラジャケット
内容はいつもと同じですが質は落ちてる感じがします