2018年 良かった同人誌選手権
コミティア多めです
map07「黄金のまどろみ」丸紅茜(丸紅アパートメンツプレス)
何度も言ってるんですけど安易な旅行モノって嫌いなんですよ。
旅ってのは境界と境界を跨ぐ逸脱行為でもあるし、旅をするごとに大きな感情の揺らぎが発生するわけですよ。丸紅さんの作品はそういう部分をピンポイントに抑えていて、使いたくないフレーズだけど「女性の繊細さ」に溢れてるんだよね。海外の文化違いアルアルとかメシウメーに走らない自己と異国との対話が描かれている。女王の貫禄。
生まれたばかりで走れない ほとむら(なにゃぴぴ htmr)
ほとむらさんの絵は達筆でシコいし、漫画も面白い。
今のコミティアって百合とかメンヘラ系の漫画が多いんですよ、ベトベトしてて暗いし、なんか読みにくい。
それに対して、ほとむらさんの描くイラストやショートショートは実に爽やかで夏の日のサイダーのような飲み口だ。俺はこういう作風のほうがシコいと思うし、作品としても面白いしシコれるのは一挙両得。シコシコ。
ドグマ荘の11人 渡辺電機(株)
今年はリイド社から単行本も出た渡辺電機(株)先生の新刊はとんでもない力作&傑作だった。「まんが道」を読んでいると破壊力は倍増するものの、「ひばり書房」、「オウム真理教」、「宮崎勤」、「川俣軍司」、「ルチオ・フルチの映画」、「奥崎謙三」でも何でもイイ、「キチガイ」なモノにトキめきを感じる人は絶対に読むべき。
病んだ漫画ではなく俺はキチガイな漫画を読みたい。
さよならロボットハニー 林麦(S curve)
これは面白いし、よくできてるなぁ。理系の知識に全く明るくないんだけど、「科学考証がシッカリしてる!!.........っぽい!」ってなる。要するに画力や設定がべらぼうに上手いんですよ。
レミファちゃんという自立回路型ロボットが突然変異し巨大化した水生生物とバトルするっていう内容で、最後にゴジラ的なSSランクの怪獣が出てきます。
「さよなら」+「自律思考のロボット」というと、どうしてもビターな結末を想像してしまいますが、そういうことは全くなく、滅びに向かいつつもひた向きに明るく生きる人間とレミファちゃんの姿で幕を閉じます。良い漫画!
男!日本海×シンデレラ女!合同 フライング東上(V林田 ペル りつ 西野彦二 いぬ T-10)
デレマス好きとゴラク好きは両立できるし、こういうキチガイ入った祭り沙汰は全面的に支持していきたいです。日本海合同とありますが、ウィードや白竜も出てきますし、実質的にゴラク合同と言えます。
THE DOGGY BACK 彦二部屋(西野彦二)
今の漫画って美少女を書く技術は放たれた矢の如く進化しているものの、カッコいい男を書く技術はどんどん退化していないか?(ケンシロウでもゴルゴでも承太郎でもなんでもいい、カッコいい男よ)
子供達の未来をクリエイトする西野彦二さんがやってくれた。小学生のマイクロビキニやフリーザ軍のゲイポルノではなく、ズートピア的なハートフルドラマでだ!少女は可愛く、男は渋く太く、イイ漫画!
ファイアーメイジ 模造クリスタル
帰ってきた!模造クリスタルが帰ってきた!模造クリスタルがコミティアに帰ってきた!
カオスちゃんの出番が多くて個人的にニンマリ。
全空耳をコンプリートした無駄の極相のような1冊。絶対に買うでしょ。
並ぶ空耳のフレーズは現代詩として楽しむこともできる。音読すると楽しいよ!
みくにゃんのお仕事帳 南瓜(ストロベリープルト)
デレマスってプレイヤーにオジサンが多いし、作ってるのもオジサンなので「キツイ」ところもあるんだけど、「キツイ」ということは設定やお洋服などを色々イジって無限の遊戯の可能性を秘めているということ。南瓜さんのデレマス同人はそのへんが巧みで、女子寮の設定や各アイドルの小物等々、ガーリーなセンスが緻密に詰まっていて楽しい。(ミレイちゃんが特にお気に入り)Pのキャラは自律的な人格を持ったお調子者系ですが俺は大好きです。
GOGO!アイドルマスターシンデレラガールズ ヒデロP(フラワーオブロマンス)
サークル名がPILの時点で独自性を放っているヒデロPのデレマス本。厚い。大作。
等身高めで萌え絵っぽい絵柄を極力廃して描かれた漫画(アニメ版設定多し)は作者主観のリアリズムに満ちていて、「こういう見方をしているのかーはぁー」と素直に関心してします。凝りに凝った装丁もチャームポイントだ。