2008年の今頃、何を聴いていましたか? その1
振り返りたい。
当時、学生で音楽に対してのモチベーションが非常に高く、フェスや洋邦問わず多くのライブに参加した記憶がある。学生なので当然、経済的な制約があり、限られたバイト代の中でライブ、音源の取捨選択をする。定額のストリーミングサービスなど存在しない時代なのでmyspaceやウェブサイトをフル活用する。ピュアで貪欲であった。
東京に非常に音楽の趣味が近い友人が住んでおり、上京の度にCDを持参(昔はbluetooth内蔵の機器などは当たり前ではなかった)し、digした成果をお互いに称え合った。夜通しで音楽を聴いたり、ニコニコ動画でカブトボーグや永井、佐々木の配信を見たりと楽しい時代だったとホントに思う。そんな「音楽が楽しくて仕方がなかった時代に出会った音源」を己自信を顧みながら紹介していきたいと思う。
☆ 駄作
☆☆ うーん、微妙
☆☆☆ たまに聴く
☆☆☆☆ 愛聴盤
☆☆☆☆☆ 10年単位での名作
☆☆☆☆☆(俺史観の邦楽ベストに入る作品だと思う)
2007年の作品なんですけど2008年に買って聴き耽った記憶がある。
2007年にトクマルシューゴの「EXIT」(これも金字塔的作品)に出会い、スライド式でトクマルの副業であるゲラーズにたどり着くのは容易かつ必然的と言える。
初めて聴いた時の感想は「カオティックなハードコア」だなという感想につきる。ここで言うカオティックとはエンヴィーとかコンヴァージらへんの意図的かつ目的としてのカオスではなく自然的、アニミズム的に生成されたカオスを指します。
後に「都市型インディー」という体系が構築され、日本のインディーは現在進行形でつまらなくなっていくのですが「シーンの形成の原初」がこのバンドにはあり、この時代が一番面白かったと僕は思うのです。
「FAN」group_inou
☆☆☆☆☆(こちらもオールタイムレベルで大好きな作品)
この時代のラップってshing02、ブルーハーブ、降神みたいな頭が良くて少し近づきがたいスタイルの人たちがメインだった気がします。今みたいにお調子者の大学生が上手いこと言う大喜利みたいなやつと00年前半の露悪的なヒップホップのちょうど中間に位置するのでは?2008年。
グループイノウはラップよりかはロックバンドに近いもんだと思っています。反復することによる高揚をメインに置くヒップホップとは違い、ノスタルジックでキラキラ&ピコピコなimaiの作り出すトラックは衝撃的でした。
イノウが出てきて54-71、モールス、ネハンベース、YOMOYA等々、面白い日本のインディーバンドを沢山知ったのもこの時。
「It could be done if it could be imagined」Folk Squat
☆☆☆☆☆(本物のシティポップだと思う)
隠れた日本の名盤なのでぜひとも聴いてほしい。
スチャスチャしたギターに軽薄で軟弱なだけで全然うまくないオカマ声のバンドがシティポップと呼ばれる現在、シティポップとはなんなんだ?
フォークスクワットの特徴はきめ細かい電子音とキラキラとしたアルペジオにスモーキーで非常に流暢な英詞!ネットによる音楽配信が成熟する少し前、私にとってこのような音楽が都会的な音楽だった。
「RIVALS」Cinemechanica
☆☆(マスロック好きな人はどうぞー)
ライトニングボルトなんかと近い感覚で聴いてた気がする。八王子だかで来日公演を観て感動した東京の友達から紹介されたバンドなので印象に残っている。
今聴いてもカッコいいちゃっカッコいいだけどマスロックというジャンルが浸透しすぎた気がしないでもない。
「Myam James Part 1」Kettel
☆☆☆(代表作のMy Dogan、RE:THROUGH FRIENDLY WATERSのほうが評判は良いですがコレも十分に良作)
これは渋谷のワルシャワで音源を買ったので非常に印象が残っている。ドイツ盤って当時は通販で買うと出荷されるまで目茶苦茶時間がかかったし値段もスゲー高いんですよ。1枚3000円~4000円くらい。
当時、イノウもそうだけどI am Robot and ProudやLali Punaみたいなメロディーを重視した電子音に夢中になっていた気がする。だから最近のWARPから出てる実験性の高いテクノとかダメなんですよ。
「Ghost」Radical Face
☆☆☆☆(エレクトロニカ、フォークの名作)
エレクトリックプレジデントというニカ/エレポップのデュオにハマっていて、その片割れのソロプロジェクトがラディカルフェイス。
ニカやポストロックのみならずサンキルムーンやボンイヴェールとかのフォーク好きにも自信をもって勧められる作品ですね。ちなみに後発の作品が幾つかありますが、あんまり良くありません。これが最高。