2016年の良かった音楽 その2
「Flotus」Lambchop
ジャズやブルース的な影響が濃くなるようになってから真剣に聴いてなかったんですが、これは大変に良い作品です!エフェクトかけまくったボーカルや電子音の多用はエレクトロニカかよ!と思ってしまうんですが郷土的でフォーキーなメロディーセンスは全然失っておらず歌モノとしてちゃんと成立してるから凄いね!アメリカの音楽ってすぐに分かるもん!おススメ!
「PSYCHOPOMP」JAPANESE BREAKFAST
30分くらいでサクッと簡潔に聴けるのが良い!ネオアコやシューゲ要素が入ってることからも日本のHomecomings的な良くも悪くもカレッジ臭の残ったやつかと最初は思ったんですが、どっちかというと90年代のリズ・フェアやPJハーヴェイみたいなオルタナ女性シンガー持っていたトッポさもあって中々良い作品です。Mitskiより断然好み。
「A Mineral Love」Bibio
ピッチフォークでの評価が矢鱈と低いですが私的にはだいぶ好みでした。
warpに行く前は割と本格的にテクテクニカニカしたIDMをやってた人だと思うんですが本作は気持ちの良いくらいにポップスに寄った作品ですね。粘っこいソウルっぽいボーカルがウケる最近の音楽シーンではこういうラウンジポップはダメなんかねー
「No One Deserves Happiness 」The Body
暗黒ヘヴィネス大陸The Bodyの新作なんですが去年もThe Body and Thou名義でスゲーうるさいアルバム発表してるし毎年何かしら音源出してね?この二人組
去年出たThouとの共作もとい凶作はノイジーすぎて自分の耳に合わなかったんですが今回は良いですよ!ゴスペル風の女性ボーカルが全面的に凶悪なサウンドを浄化していてポップにさえ聴こえる!それにしてもこのドラムの音はどうやって出すんだ??
「On Dark Silent Off」Radian
このバンドもドラムがとにかくスゲーんです。The Bodyのマチェット振り回して人体を解体するがごとくのヘヴィーなドラミングに対しコチラはメッチャ頭のイイ人口知能みたいにとにかく正確でドライな音を刻むんだな。レーベルの大先輩、トータスのジョン・マッケンタイアとも違う、あっちは今でもハードコアパンク入ってますからね。デヴィッド・ボウイの新作に参加してたマーク・ジュリアナなんかタイプとしては似てるんかな?よく分かんないですけど。
2016年の良かった音楽 その1
2016年に発売された音源からライブ盤やコンピ、ベストなどは除いて良かったやつを15枚選んでみました。巷では気合を入れて50枚とか選んでる人もいるみたいところですが、そこまで熱心に音源を漁ってないので15枚です。10枚だとちょっと勿体ない気がするので15枚です。
あと、ブログがだいぶ重たいので3回に分けて更新しまーす。
「Honey」Peals
Future IslandsとDouble Daggerのメンバーが片手間でやってるギターアンビエントユニットですね。これが通算2枚目のアルバムで前作も最高に微睡めるんですが今回もクソ最高ですよ。極限までろ過したキラキラに澄み切ったフレーズをループさせ幾層にも積み重ねっていった煌めきの塊のようなサウンドっす
「TOSS」トクマルシューゴ
実は「EXIT」以降の2枚があんまり好みではないんですけど今回は大ヒットですよ。
ピアノ弾き語りの「ROUTE」、アンセム「HIKAGENO」、幾何学的なフレーズから開放的なサビへの繋ぎが美しい「HOLLOW」など歌心ある楽曲がたっぷり!大満足!
[ラジカセ24時間連続再生-1] Shugo Tokumaru (トクマルシューゴ) - Hikageno (24H Edit)
「More Rain」M Ward
これ凄く良い作品ですよ!ピッチフォークなんかでレート低いですが全然分かってませんね。この人もちょうど10年くらい前に「Post War」という素晴らしい作品を出しててこの作品は私の長年のフェイバリットだったんですが、それ以降はズーイー・デシャネルちゃんとShe & Himを始めたりと知名度も実力も広まったわけなんですが楽曲の質自体は個人的に物足りないものがあった。本作はこれまでの未消化感を吹っ飛ばしてくれるアコースティックメイン、フィンガーピッキングの温みを存分に感じられる良作ですよ!
「Stage Four」Touche Amore
いつもピッチフォークで8.0とかの微妙に高いレートをとるけどBNMに選ばれないことに定評のあるTouche Amoreの新作です。
何やら意味深なタイトルですが確かに次のステージに降り立ったという感触を感じる作品ですね。激情HC、スクリーモだとかそういう狭いジャンルに括られないダイナミックでスピード感あふれるパンクですよ。
「Tender Defender」Tender Defender
知ってる人たちの間ではかなり大物なLattermanというバンドがいたんですが、これはその元Lattermanのメンバー3人によって結成された新バンドです。つーか音的にLattermanですコレは。もう1曲目のイントロの時点で最高です。エアドラムしたくなります。
2016年の駄目だったジャケット
5枚選ぶよ
「ソルファ(2016)」アジアンカンフージェネレーション
ソルファ直球世代だし、再録決定も嬉しかったし楽曲も良かった!でも、このジャケはどうなんだ??ジャケも完全に書き直すものだと思ってたぞ!微妙なマイナーチェンジとはいかに!?
「The Catastrophist」Tortoise
そういや年初めに新作が出てたことを存在すら忘れてました。
このジャケはないと思います。一昔前のファットレックコーズのパンクバンドみたいだねー
「Hitnrun Phase Two」Prince
内容は好きです!でも遺作でこのジャケはないよなぁ...フェイズ2とあるように先を見ていたのは明らか。意味深な過去のヒット曲のフレーズの引用とか何か企んでるな感がムンムンだっただけにモヤモヤすっぞ
前半の流れはプリンスのキャリアの中でも良くも悪くも凄くポップで歌謡曲テイストが強くてビックリ!問題の「ボルチモア」なんかドシリアスな歌詞なのにシンガロングできるような曲だしな!ワーナー復帰~デジタルリリース~死去までのプリンスの作品は基本的に好きっす。
「メロディーズ」蓮沼執太
えっ、こんな自分を前に出していくキャラでしたっけ.....
「Honeymoon on Mars」Pop Group
ポップグループ=白黒のイメージが覆されたし内容的にもダメダメだなーと
「Y」のプロデューサーを起用とのことですがあんまり意味ないよな!38年前と今じゃ機材も音楽的嗜好も変わってるわけだしな。前作のシチズンゾンビーはロックっぽくて聴きどころが多々あったんですがコレはちょいダンス寄りになってて聴くのがキツイ。
おじいちゃんが現代的な要素を取り入れるとダメなパターンだわな。プリンスやボウイみたいに常に最前線で動いてたわけじゃないからそこらへんのセンスの差は露骨に出るなー
2016年の良かったジャケット
「TANPO/MACAO」チョモランマトマト
2曲入りのLP。ジャケも盤のデザインも勿論なんですけど曲も最高なんです。
00年代のラウドロックにDCパンクが融合した会心の一作!前のミニアルバムが個人的にダメで今回がガッツポーズの出来で遂にネクストステージに立った感があっただけに活動休止は残念ねー
「Disappointement Island」TTNG
かわいい。
エモ勢はアボリジニやネイティブアメリカン入ったアートワーク好きよね。
「Before a Million Universe」Big Ups
今時、Slintっぽい暗黒ハードコアパンクを演奏している若手パンクバンドのBig Upsっすね。五芒星、星条旗、サイケっぽいスモークに覆われた暗黒星もとい円盤という意味深に思えて多分あんまり考えてないでしょうね!
上の2枚もそうですがインテリアとして部屋に飾りたいですねーこういうのー
「TOSS」トクマルシューゴ
「わたしは真悟」ですね。
ツチヤニボンドとか才能のある日本のミュージシャンは楳図かずお大好きですよね。
内容も素晴らしい作品なのでそれについては後日。
「PHANTASIA」ザ・なつやすみバンド
安定の惣田紗希。
2016年の10冊
「犬神屋敷」白川まり奈
「吸血伝シリーズ」や「侵略円盤キノコンガ」で知られる白川まり奈氏の未発表作品の原稿が何かの間違いで古書ビビビの店主である徳川氏によって発掘された!そしてまさかの単行本化!なんじゃいな!
この「犬神屋敷」ですが白川先生が妖怪研究にトリコじかけの明け暮れになってる時期(ニャンシー、血どくろマザー辺りを発表していたスカムホラー期)に執筆された作品みたいです。この時期の作品はスカム、ローファイなどと評されることが多いのですが表紙をめくってみると見事に書き込まれた矢鱈と黒々しい絵面に目がやられそうです。
フツーに怪奇漫画としてのクオリティに脱帽しますが、氏の作品における絵巻物や説話から引用したウンチクが少ないのはちょっと寂しいかも
「プリンセスメゾン」池辺葵
居酒屋勤務で都内にマンションを購入し、日々物件の勉強と節制した生活を送る女性が主人高のお話。表紙のパーカーを着た幸ちゃんが主人公なんですが度々、彼女の周囲の人々あるいは知らずに通過していった人々のエピソードが挟まれる群像劇の体をなしています。
この3巻はとても良いです!優しいし、自分にとっての幸せが何なのかをしっかり掴んでるの。んで、幸せというのはお金によって拘束されているということもしっかりわかってる。「結婚なんかしなくても私は私の幸せのために毎日働いて好きなようにお金を使うんだ!」という前向きさがイイ!
「デレマス×稲川淳二 恐怖@現場」フナヤマヤスアキ(フェノメノーム)
登場アイドル:多田李衣菜、前川みく、神崎蘭子、白坂小梅、稲川淳二、佐久間まゆ
同人誌枠です。
元々はコミティアを中心に妖怪、幽霊をモチーフにした一次創作を発表していたフナヤマヤスアキさん初の二次創作本。
見て分かる通り、「恐怖の現場シリーズ」とデレマスのパロディですよ!シンデレラガールズと淳二の共演とはバカバカしすぎて誰も考えつかないですよフツー。
とにかく楽しいアイドルと淳二の絡みに「コワすぎ!シリーズ」的な幽霊との対決、ラストはトリガー作品かよ的なハッピーエンド!色々とぶっこんでるのにも関わらず綺麗に纏まっていてフナヤマ氏の漫画力の高さを感じます。
「バトル少年カズヤ」中川ホメオパシー
過剰と反復をループ&ループすることによって生成される天然アシッドだ!
よく分かんないですけどクローネンバーグ作品と不良番長シリーズ高速で逆再生してるカンジ?よく分かんないですけど。まあとにかく買って読んでほしいねホント。
「ブラックアンドブルー」根本敬
根本敬による名盤ジャケリメイク画集。
ストーンズ、ビートルズのような定番はもちろんのことエイフェックスツインやキリンジ、Nas、スマパンなど意外なセレクトも!
「ボコボコりんっ!」知るかバカうどん
はい!うどんちゃんです!amazonでやっぱり取り扱ってないですね、この有害図書!
容赦のない暴力や障碍者をテーマにしてるところから山野一を引き合いに出す人がけっこーいますが私としては「う~ん」ですね。山野氏の場合は作品と自分との間に距離を十分にとってるのに対し、うどんちゃんの場合は作中に出てくる配信JSやリスカ姫に近いメンタリティだと思うんですよ。
早見純、町野変丸、町田ひらく等、暴力やロリを描いたエロ漫画がサブカル界隈からハイセンスものとして持ち上げられることが多々ありますが、うどんちゃんの場合はかなり異質な気がします。
気になった人はコレの他に冬コミで出た「ぜんぶまとめボコボコりんっ」を読めば完璧!
室井大資が大好きなんですよ。「秋津」はもちろんですが「イヌジニン」も「ブラスッド」も全部集めました。時間とアシスタントさえいれば最高な漫画を描いてくれるんですよ!室井大資は!
ちなみに岩明均はフツーです。
「あの子と遊んじゃいけません」どろり
息切れしてきました。
絵柄的に阿部共実や宮崎夏次系を思い浮かべたんですが内容はもっと邪悪で下品だ。あんまりメンヘラ臭はしません。上で挙げたカズヤに近い?いや全然違うなー
「銃座のウルナ」伊図透
ハルタ系のヨーロッパテイス入ったファンタジーかと思いきやケッコーなハードSF入ってるがな。
「逸見エリカはガルパンの中で最も自慰行為に拘りを持つ娘だ」リスくん(リス小屋)
同人枠2。
とにかく最高なんで一人でも多くの人に読んでほしいです。
R-18みたいですがエロくないので安心して買えます。
2015年間ワーストディスク
ネオソウルって何?スケベさやホモっぽさが欠落したソウルミュージックっていかに?
前作のポップに突き抜けた感じは非常に好みだってたんですが今回は分かりやすさを抜いて彼らのスゲーダメな部分である軽薄さを3倍増しにしたカンジ。
昔のヒップホップで言うとタイニーパンクスのようなニューウェイヴな理屈臭さでもキングギドラのような超のつく原理主義でもなくスチャダラパーの能天気さに近い印象を受けます。
未だに「ブギーバック」の残滓を感じさせる「Summer Soul」はリリース当時の梅雨っぽさも相まってか湿気ったポテチと一緒に炭酸の抜けたスプライトを飲んでるような脱力感でした。
Girls In Peacetime Want To Dance
- アーティスト: Belle And Sebastian
- 出版社/メーカー: Hostess Entertainment
- 発売日: 2015/01/20
- メディア: CD
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全く時代性を無視した(EDMの影響との声もあるが)テクノポップがリードトラックでおまけに耳に残るのがその曲だけというダメダメ加減
ライブも観ましたが相変わらず音が小さいし、いっそのことエレキ使わないで弾き語りメインでやったほうがいいような...
単純に良い曲が少ないし無駄に長い。
いい加減リチャードが大昔に片手間で作ったようなコッテコテのテクノを褒めるのやめません?
国内盤を買ったら薄い紙1枚のライナーノーツが付いてるだけでした。
こういう売り方をする「輸入盤国内仕様」に引っかからないようにしなきゃ。
2015年間ベストディスク
ポストパンクという便利なようで実はそうでもない言葉がございますが、パンクという特異なジャンルの音楽をさらに細分化した観点で捉えるという何とも珍妙なやり方は果たしてパンクなのかそうでもないのか...
ツチヤニボンドの前作がポストパンクを直線的なパンクとして(例えばワイアーみたいな)解釈した作品だとすると本作はリズムだとかアフロだとか前衛性を押し出した作品......では決してなくポストパンクおろか昨今のUSインディーR&Bやグラムロック、歌謡ロックまで幅広いレンジの音楽をおさえておりポストだとかパンクだとかどうにでもよくなる素晴らしい作品なのです。
ツチヤニボンドのバンドメンバーであるPADOK氏をエンジニアにむかえた1年ぶり3枚目のアルバム。
脱帽!「ダーティプロジェクターズ」の名が引き合いに出されることが恐らく本人たちのジレンマだったと思うのですがそんな名前は一気に吹き飛んでしまいそうな快作です。クレイジーなギターワークと優美なフルートの音が特に印象的です。
今までyoutubeやfacebookで発表された曲を一気にコンパイルしたとあって完全な新アルバムとは言い難いんですがやっぱりいいですねー。
新曲メインのディスク1、コミック色が若干強めな季節ソングを集めたディスク2、アコギ弾き語りで簡素な作りながらもメロディーが際立つディスク3の3枚組!少し値段は高いけど損はしないはず。
ニューオーダーの作品で最後まで通して聴ける作品って初めてかも。
若干中だるみはするんですけど序盤と終盤にシングルのキラーチューンを入れてくるんで全然OKOK。
凄く「和」の雰囲気を感じさせる作品。音数の少なさと時折聴こえる歪みは静寂に滴り落ちる雨粒のよう。
ラストの3曲が良すぎる!!泣き!!
USインディー的なドローン解釈か?決して前衛だと音響だとかの回りくどい分かりにくさはなく快晴の中初日の出を眺めるような荘厳ささえあります。
ex-昆虫キッズ、paradise
バンドマンとしてではなく宅録ギタリストとしての冷牟田王子の怪才が発揮された初ソロアルバム。コクトーツインズから元エメラルズのマーク・マグワイアまで冷やっこいノイズが大好きな人はぜひ
ワイアー流ブリティッシュトラッド。変わり続ける大人の色気っすねー
ハスカードゥ、ダイナソーJr、レモンヘッズ、スーパーチャンクが今でも大好きなナイーブな大人からスラング聴いてSEALDsに感化されてる若年層まで安心して聴けるパンクロックです